乱歩歌舞伎『京乱噂鉤爪』/国立劇場デビュー

 いや、当然 自分が国立劇場の舞台に立った訳では
ありません。

 

 京乱噂鉤爪 - 人間豹の最期

  ある筋で情報を知って、あわててチケット入手に走りました。江戸川乱歩の小説
を歌舞伎化、しかも映像化されたことのない『人間豹』。さらに今回の公演は昨年の
続編の完全オリジナル内容! 

  なんとなくも言いようのないパチモン感・・・・ア、イヤイヤ予測不可能な期待感にドキワクしながら
上演される国立劇場へ。

 

 

  すっげぇ〜、「国立」の「劇場」だよ(あたりまえだ)。
 入り口前でヲタ芸打ってる集団も居ないしトレーディングカード
露店開いてる奴も居ねえ。勿論ダ×屋も居ない(当たり前だ)。

 オオオ、なんか自販機まで国立な感じぢゃね〜かっ、などとハシャいで
いると上演時間が迫ってきたので中へorz



 内容はまぁ、完全にオリジナルです。前作『江戸宵闇妖鉤爪(えどのやみ
あやしのかぎづめ)−明智小五郎と人間豹(ひょう)』は、原作の昭和初期の
設定を江戸時代に移し、明智小五郎は普段は人形師に身を窶した「隠密廻り同心」
となって人間豹と対決しました。原作のラストでは人間豹が気球に乗って何処
ともなく去っていくという例によって乱歩の悪いパターン^^;;だったので
続編制作も可能という訳です。

 今回の続編の舞台はよりによって幕末の京都。幕府派倒幕派が入り乱れて
混乱する京の街に現れた人間豹は前作とは打って変わって無差別な殺人に
走りますが、そのバックには世情の混乱に乗じてこの世を支配せんとする
陰陽師の陰謀が^^;;! 今回の悪ボスはむしろこの陰陽師なので人間豹は
ちょっと後ろに下がった感じなのですが、市川染五郎の見せ場を作んなくちゃと
いうことなのか、二役で女形にも挑戦しております。

 まぁ話のスケールの壮大さと実際に舞台上で行われていることの差がちょっと
あるかなぁ、とは思いましたが歌舞伎に限らず演劇ではそういうことはある訳だし、
ハリウッド映画に侵食されている脳味噌は伝統に裏打ちされた段取り的な
殺陣?よりも生々しいアクションを求めがちになりましたが、それでも早変わり
宙乗り染五郎の空中回転など見せ場は盛り沢山でした。自分の席は2階
だったのですが、吊上がった・・・・設定上は陰陽師の法力で空中にフッ飛ばされた
人間豹が空中でクルクル廻るのが丁度よい高さで見れました^^;; 
 小ネタとして、『鏡地獄』や『人でなしの恋』のネタなどもサラリと挿入されて
さながらプチ『恐怖奇形人間』状態といえなくもなくなってますが^^;; 一般の
歌舞伎ファンのご婦人方はどれだけ判っていたのやら。
 
 あと気になったのはねー^^;;
 「高麗屋っ」とか叫ぶ人達。
 いや、それがなくちゃ、とも思うんだけど、あの人達って絶対、お芝居
の中身は見てないでしょ^^;; まぁ、叫ばれるのを見越して役者も間を
取ってるんだけどさ明らかに。