兄貴っ、『ロシアン・ルーレット』はちょっと・・・・・

  俺には、心の中に兄貴と決めた男が居る。
 一度も会った事はないし、実は俺より年下なのだが
そんなことばどうでもいい。俺が兄貴と心に決めた男
なのだ。
 男の名は、ジェイソン・ステイサム
 兄貴の出ている映画を見るのは俺の義務だ。
 スタローン叔父貴の舎弟を演っていた『エクスペンダブルス』
も当然義務として見に行ったさ。

  しかし、今回は・・・・。

  

 ロシアン・ルーレット

 見せ場がねーですよ、兄貴っ

 まー元々、脇役なんだけど何か異様にインパクトがある奴、
としてのし上がってきた兄貴なんだから、なんとなく作品に
深みを与えるだけでも良いっちゃ良いのだ、確かに。
 今作のオリジナルとなったフランス映画『13/ザメッティ』
には、正直兄貴がハマりそうな要素は全然なかった。必要最小限
の説明とザラついた白黒映像で語られるロシアン・ルーレット賭博
の異様さはその見た目のインパクトだけで作品全体を充分に覆い尽
くしていた。
 しかし今回、映像がカラーになり主人公がこの賭博に参加する
きっかけに色々と生々しい事情が追加され、さらには『エクスペン
ダブルズ』でも共演したミッキーの旦那のエピソードという今作
オリジナルの粋な要素も加わった中では、兄貴とその兄貴(あ、
劇中の役柄の、ね)のエピソードが今ひとつ中途半端な感じ。、
 賭けのために毎回 病院から兄を退院させて賭けに参加させている
弟と、それを甘んじて受け入れている兄の関係性というのは今作で
の描写ではやや足りなかったのではないか。とはいえ主人公の話で
はないから余り深堀りも出来ず、でもってミッキーの旦那のエピソ
ードほど軽く流せる話でもなく、なんだか作品の中にカチッとハマ
っていない感じなのである。更には賭けが終わった後の主人公に
対する兄貴の行動が、コスい、コスすぎるっ。せめて廻し蹴りガン
ガン決めるとか金を巡って警察・主人公と三つ巴の乱戦繰り広げる
とか、なんか出来なかったんすかっ、兄貴ぃいっ!

 作品全体としてはまぁ、オリジナルと同じ人が再び脚本・監督を
やっているんで、良くも悪くもオリジナルのワールドワイド版。
ミッキーの旦那のエピソードは普通に面白かった。生きた人間で
ロシアンルーレットをさせる賭けというモノのおかしな緊迫感は
キープ。

 このモヤモヤした感じは8月公開の兄貴完全主演作『メカニック』
で晴らすしかないが、これもチャールス・ブロンソン主演作の
リメイク。これでいいんすかっ、兄貴!