年末にキツい2発

 ・・・・実はそれほど年末に観た訳でもなかったのだけれど^^;;;
 しかしこの2本を一日で見てしまったのはやっぱちょっとヘヴィだった。

  
  
  任侠ヘルパー

  テレビドラマ版を瞬間的断片的に見たことはあって^^;;;その時の
印象だとちょっとコメディがかった印象だったのだけれど、仕切り直
したある意味セルフリメイクなこの映画版は笑い一切無し。
  とある地方都市を舞台に暴力団が介護ビジネスを喰い物にしようと
暗躍するのだけれど、このやり口が結構リアルかつ辛辣で、ちょっと
したドキュメンタリーのよう。中盤になって、主役のいいひと。^^;;;
が「これぢゃ筋が通んねぇっすよ、任侠道に反しますよっ」となる所
からちょっと「ファンタジィ」になっちゃってこのままあらぬ方向に
行くのかなぁ、とちょっと不安になったら、終盤に向けてかなり現実的
に思える落としどころに持って行ってくれてよかった(と思った)。
 往年の任侠映画を見て巧いなぁと思うのは、主人公がいわゆる
「義理と人情の板挟み」になってしまって身動きがとれなくなる様を
上手に描いてくれた時なのだけれど、今作はその辺、ネタが介護と
いう事もあってかカタギの人も絡めて、かなり「にっちもさっちも
いかない状況」が描かれていて巧いなぁと思った。    



  
  その夜の侍   

 今作のように犯罪に巻き込まれてしまった程ではなくても、色々と
振り切ることが出来ずに悶々としてしまう人は居るのだろうし自分も
どちらかと言えばそういう傾向なのだが、結局、吹っ切るにはどう
したらいいのかということを描いている作品である。
 人は色んな意味でひとりで生きているのではない以上、周囲の想い
とか善意とかを気にしなくてはならないのだけれど、それでも、それ
でも結局は、こういうことなのだ、という話である。それを抽象的に
やっちゃうと、何か隙のような物が出てきてしまうからこその「物語」
なのだ。
 だからこの、おそらく邦画史上でも類を見ない最低レベルの人間像
として登場してくる山田孝之 演じるキャラクターも居なくてはならない
存在なのだ。
 この、繊細、というにはちょっと齟齬が在るかもしれないニュアンス
が描き出されていた2時間弱は、感心することしきりだった。