今頃なぜかドラキュラ熱

 といってもまぁ自分のことですから何か歪んでいますが^^;;

 もう部屋の中が冗談ぢゃなくゴミ溜め状態になってきたのでどうにかせねば、と部屋の中をかき回しておりましたら、690円で廉価販売していたのを衝動的に買ってそのまま忘れていたDVDが出てきました。



『ドラキュラ’72』

 タイトル通り、ドラキュラ伯爵が100年の眠りを経て20世紀の現代(作品制作当時)に甦るという代物。いまでこそ、古の異物(魔物)が現代によみがえって・・・・というお話はそこいら中にゴマンとありますが、この当時は斬新だった・・・のかも知れません。
 まぁ、クリストファー・リー御大主演のドラキュラもこれでもう6作目。リー自身は嫌がっていたというし、19世紀が舞台の話のパターンはもう色々やってしまってるだろうし、現代劇ならお城のセットとか組まなくてもいいし、アメリカ配給もあるしと何か色々とあった上でのことだったのでしょう。

 映画自体は微妙に中途半端というか^^;;、美味しそうな材料がそれなりに彼方此方にばら撒かれているのに巧く調理できていないという感じなのですが、その辺が返って個人的なツボにはハマりました。ロンドン上量階級家庭のパーティ会場に乱入する「ロック・バンド」と「ナウなファッション」の若者達が繰広げる乱痴気騒ぎという当時のイギリス社会をベタに凝縮した「現代描写」あり、パブにたむろする不良グループが面白半分にやらかす黒ミサありと気持ちのいいお約束の連発であります。その不良グループに何故か入っているヴァン・ヘルシングの子孫のはねっかえり娘。その娘にご就寝なのが、数ヶ月前に突如グループに加わり、そのカリスマ性でリーダーになってしまったなぞの青年。その青年に気が在りそうな不良グループの別の娘と、この辺のキャラクターをもっと掘り下げれば小説の一本ぐらい書けそうなのに^^;;、思わせぶりな描写だけでさらっと流してドラキュラが復活。一応「現代社会」なんだからバスとか地下鉄を使えばいいのに夕闇迫るロンドン市内を苦しそうにひた走る老ヘルシング教授(初代の孫で不良娘のお爺さん)は突如ロンドンに連発する猟奇殺人に只ならぬものを感じるが、その時、孫娘に魔の手が!
 蘇ったドラキュラの最初の犠牲者(キャロライン・モンロー!)の死体発見シーンやクライマックスのヘルシングとドラキュラの対決シーンで突如カットバックによる凝った編集シーンが出てきて唐突に盛り上がったりするのはご愛嬌だけれど、『スターウォーズ』第一作目公開以前という時代においては極めてまっとうに映画的な盛り上がりだったりするなぁ。「ヴァンパイヤは流水に弱い」というシリーズ内でもさほど顧みられなかった設定を使ってみようしたのはいいものの、現代の一般家庭には大抵ある「シャワー」のお湯を浴びて悶絶死するドラキュラの下僕という間抜けな展開になってしまったシーンなど見どころも満載。いや別にシャワーでもいいんですよシャワーでも。シチュエーションをカッコよく、盛り上げてくれれば。でもあのシーンは全体的に間抜けなんぢゃないかと・・・・。それと、どうしてドラキュラ伯爵は復活した協会跡地から外に全然出て行かないのかも不思議。
 ともかく、決して出来のいい作品ではないけれど、全体のトンがった雰囲気というか空回りしがちに溢れ出るパワーがなんとも堪らん作品だと思いました。