『相棒』の、社会派の側面をすっかり忘れていた。

 よくよく考えてみれば、いわゆるトリッキィな
推理ドラマと社会問題など重い題材という相反し
そうな要素を1時間ドラマの中で程よくブレンド
させるのも『相棒』の魅力だった訳で、それを
両方欲張ろうと?スケールを大きくしたらなんと
なくギクシャクしてしまった感じに思えたのが
劇場版一作目だった。「自己責任」の名の下に
息子を「国」に殺された(ようなことになって
しまった)親の怒りと、殺害現場にチェスの手を
示して追跡者に挑戦してくるゲーム性がどうにも
離反しているように思えてしまったのだ(まぁ
犯人が複数 居たから説明がつかないではないんだ
けど)。
 それに比して、今回のネタは恐ろしく非情に
地味だ。しかし果てしなく重い。そして見事に
推理ドラマだ。むしろ推理クイズと言ってもいい
ぐらいだ。派遣切りとかネットカフェ暮らしとか、
もうニュースバリューもなくなっのか全っ然 報道
されなくなったけど無くなっていないしもっと酷い
状況になっているんだろう。
 身につまされる傑作である。