モーニング娘。2013秋ツアー初日

『007/スカイフォール』を見た時に、近い感覚。

 なんだかんだで10年間 歌唱面で中心に居続けた
田中が抜けて不安が出てくるか、と思ったが、ほぼ
杞憂だった。小田がどっしりと重量感ある響きを放
ち、譜久村は楽曲の要を押さえる。勿論いわゆる
「エース」は鞘師なのだが、現在の体制はダンスの
売りがいわゆる「フォーメーション」であるが如く、
ヴォーカル面も一極、あるいは二極に集中する印象に
ならないようなバランスが以前より計算されている
ような気がする。石田も要所要所に出てくるし、
地味に鈴木があちこち支えている。むしろちょっと
心配なのは佐藤で、こぞという見せ場で前面に出て
くるのだが、鞘師の「絞り出し唱法」とでもいうべき
唄い方を踏襲した感じでパワーに任せて唸るためか、
夜公演の最期のMCではガラガラ声になっていた。あ
の歌い方がデフォルトになっている鞘師はいいとして
も〜それでも夏場はTV出演やイベントで歌う回数が
増えたせいかしばしば不安定になっている時があった
ような気がするが〜このまま佐藤があの歌い方でいく
のは大丈夫なのかと思ったりする。実は飯窪さんの
歌割が地味に結構あったりするのは個人的には嬉しい。
 先日発表されたアルバムはいわゆる「黄金期」の
ナンバー(だけぢゃないが)を現在の娘。楽曲の主流で
あるEDM仕様にアレンジし直して現役メンバーが歌う
というもの。
 そのプロモーションもあってツアーのステージで
当然それらは披露されるのだが、それに加えて更に、
以前のいわゆる「プラチナ期」のツアーで盛り上がった
「Moonlight night 〜月夜の晩だよ〜」、「 SONGS」、
「Take off is now!」などのナンバーもが現在のメン
バーにーよって次々に繰り出されて行く。そしてそこ
に現体制の楽曲が休む間なく入り込む。壮大なる平々
凡々のありがたみを謳い上げる『歩いてる』からの
超絶自己中ソング『ラララのピピピ』、はたまたEDM
仕様リニューアル『LOVEマシーン』からの、現在のEDM
路線の始祖『One・Two・Three』と、会場でいきなり
体験した時はかなりの衝撃だったのだが、後から考え
ると絶妙の構成かなとも思う。
 youtube「1/娘。」ムービーで「負けたくない。
昔のモーニング娘。にも」という台詞の担当は鞘師
だったかと思うが、まさしくそれを体現したステージ
だった。ステージのフラットになっている部分が
以前に比べて広くなっているような気がした。これも
フォーメーションダンスに対応した措置なのかと思う。
今までの歴史を見てきた者なら意外な衝撃の連続で
十分に面白く、この公演で初めて娘。を観た者には
単純に新鮮な面白さがあるステージだったと思う。い
わゆる「黄金期」をTV露出などで中途半端に知って
いる者にはむしろ、相変わらず誰が誰やら分からない、
楽曲のパフォーマンスが延々と続くとっつきにくい
「アイドルのコンサートと予想していたものとは違う
変なステージ」だったかも知れない。そんな所も、
『007/スカイフォール』を見た直後の印象に近い
感覚だった。