幸せになれない能力

 昨秋。立て続けに


 てな映画を見てしまって、「俺的超能力フィーバー」
が己の脳内で渦巻いていたのだが、別に自分が何か特殊
能力に開花した訳でもない。訳ではないにも関わらず、
「あ゛〜超能力なんて在っても幸せにはなれないんだっ」
とか大の大人が真面目に考えてしまった瞬間があった
ことは否めない。まぁ『SPEC』は映画版に移行してか
らは物語の軸が変化して、最終的には地球にとっての
人類の意味をオリジナル人類//神と不純種//超能力者
が問い戦いあう、しかも日本の警視庁の屋上で延々ず
ーっと、という何処のセカイ系の深夜アニメかよとい
う所に飛んで行ってしまったが、オリジナルの企画
・脚本で実写でアレをやり切ったのは凄かった。気に
なったのは『キャリー』で、今回のクロエちゃん版で
はキャリーは「能力」のならし運転をやっちゃってい
た。まだオリジナル版と仔細に見比べていないのだが
あんなシーンは在っただろうか。
 ああいうのをやってしまうと、ぢゃあ最後のプロ
ムは完全に自分でコントロールしていたのかよ、と
いう風にも見えてしまい、「能力暴走」という悲劇
性が薄れてしまう感じがしたのである。それどころ
か結局、元々の本人の性格の問題なんぢゃねーか、
みたいに考えてしまう。それをよりはっきり描いて
しまったのが『クロニクル』で、メイン二人の変わ
って行きようは、各々の置かれた環境も多分に影響
があるとはいえ基本的に始めに描かれた基本性格に
沿ったままのものであり、やはり超能力では幸せに
なれない能力なのだと確信してしまったりするので
あった。そしてそんな時、既に放送は終わっていた
『みんな、エスパーだよ!』を見たのだが、なんと
意外にも此処に、超能力を得ることで何かが変わって
行く、行こうとする様が切実に描かれていると思っ
たのであった。前半の、まるで小学生が国語辞典で
Hな単語を調べて喜んでいるようなどうしようもな
い展開から転じての、特異な能力が在ってもあまり
に孤独で平々凡々な日常に押し潰されていく虚無感
を経ての。怒涛の最終回の主人公の感じる充実感と
盛り上がり。『シャンゼリオン』並みに非常にズル
い構成の最終回なのだが、あの昂揚感のためにまる
まる1クール使って来たのかと思うと感慨深い。原
作連載がまだ続いているらしいせいか全然説明不足
な中盤のエピソードが気にはなったが〜SF短編の
ネタとしてはそれでも面白かった〜「俺的超能力フ
ィーバー」を締めくくるには最高の作品だった、と
いうか去年見たドラマの中でもベスト3に入れます
わ是レ。

 
 ただまぁ、コレ主人公が幸せになったのかと
いうとそうでもないんだよな、
 ・・・・しかし、『エスパー』の印象が強すぎで
『永遠のゼロ』で染谷将太を見た瞬間 吹き出し
てしまった。