『悪魔を見た』を見てしまった

 これもまぁ、地震の前の話。

  

悪魔を見た

 「復讐は空しい」とか「復讐に何の意味が有るんだ」と
か、物語の中でよく使われたりするコトバなのだけれど、
そのコトバ自体がやや陳腐化しているというかパターン
化されてきてしまっているのぢゃないか、と思ったり
する今日この頃だったのだけれど、それを実感、という
か、ここまでやれば嫌でもそういう風に思うよなぁ、と
いう展開。そこいら辺はさすがにある意味ネチッこくて
シツこい韓国映画の特性が存分に活きているなぁと関心。
主役がビョン様というのも、充分に悪役顔なだけに妙
に説得力あったなぁ。特に中盤、ビョン様のターゲット
である殺人犯が仲間である別の殺人鬼と合流して、本筋
とは直接には関係ない殺人鬼軍団vsビョン様の変則
マッチになる下りはややもすると「この映画は何をやって
いるんだ」と思わないでもないのだけれど、全体から
考えるとビョン様が陥った心の闇を描くのに不可欠だった
なぁ、と。絵作り/アクションシーン的にはメチャルチャ
気合が入ってるのも巧かった。
 復讐者が度を越した行動に出て物語が思いもよらぬ
方向に行ってしまうという点では、年明けに見た
完全なる報復』にも通じるところがあって、そういう
意味ではこれってトレンドなのかよとも思ったけど、
あっちは取引で犯人が減刑されてしまうアメリカの
司法制度そのものに対しての「復讐」になって行った
のに対してこちらはあくまで事件/犯行に関わった
人間に対して、というところが、やはり韓国映画
な「味」なのかなぁ。 『SAW』シリーズとかも
どんどん、犯人と関係ない人達を無差別制裁する方向
に行ってるしなぁ・・・・まぁあれはシリーズ続けるため
(だけ)なんだろうけど。
 この監督さんって『箪笥』の人なのね。あれも
かな〜り反則技だなぁと思ったんだけど、なんか全体
を通して考えると納得してしまった。 もう一度ソフト
で見てみよ、と。