『鬼船の城塞』を読む

 鳴神響一さんの『鬼船の城塞』読了。

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 著者の鳴神さんと某所で直接お話しさせて頂いたから、という
訳では決してないのだけれど^^;;;、自分にとっては新鮮な驚き
に溢れた一冊だった。
 実のところ読み始めてしばらくすると、東映の1960年の映画
『幽霊島の掟』を思い出してしまったのだが、あちらは当時の
スター達(大川端像やら美空ひばりやら鶴田浩二やら松形弘樹
やら)を集めて暴れさせるために、一応時代劇にしたぐらいの
雰囲気の作品で、江戸から遠く離れた孤島が舞台というのをい
い事に時代考証もなにも結構な適当さが渦巻く怪作という
印象だった。・・・・まぁそこが面白いと言えば面白かったのだけ
れど。
 江戸から遠い絶海の孤島という部分は共通だが、今作は得次
中期の日本の国内情勢と世界列強のパワーバランス状況を巧み
にリンクさせて物語の軸にしており、更に海戦物という、あり
そうでなかなかない筋立て。やや直線的に話が進みがちかなと
思う所もないではないけれど読んでいる間は全然気にならない
一大冒険譚である。
 こういう作品をちゃんと映像化するべきなのだろうなぁ。