加藤夏希、流石 「元祖ステーシー」や!

 山本淳一 脚本・監督・編集の『武蔵野線の姉妹』を見てきました。

 
 

 正直ストーリーそのものは、一見すると他愛のないコメディです^^;;; 原作
がいつ描かれた物なのか知らないんですが、普段からヲタヲタした日常を送って
いると、今更「リア充」の用語解説をされても、な感じもあった訳ですが結果的
にネットや趣味のためにダラダラ生きてるようになっちゃてるようなヒト達は
苦笑しっぱなしかなぁと思ったり・・・・まぁ、そういう意味では人生について
ちょっと考えさせるかもしれないです。この監督さんの作品はオリジナル企画の
場合は登場人物が置かれている状況の深刻さがハンパない場合が多いので、これ
ぐらいのコメディの中で監督が泳ぐと丁度いいのかも^^;;;;?しれません。
 しかし、そんな(自分にとっての)不安要因など軽〜く吹っ飛ばして更に別次元
の奥の奥に連れて行ってくれたのは、主演の加藤夏希その人なのでありました。
 加藤夏希 本人の芝居のノリが凄いのか、普段のテンションがああなのか。
 普通に考えたら全くリアリティがない今作のキャラクターを有り得ないテン
ションを突き通して演じることによってひょっとしたらこういう人も居るかもしれ
ないと思いたくなる凄さ。更にはその凄まじいテンションから自然にシームレスに
しんみりとした芝居に移っていけるところが、さらにこの役に「リアリティ」の
ようなものを与えているなぁ、と。はるか昔、某衛星チャンネルで『ステーシー』
が放送された時、インタビューの立会いをさせてもらったのだけれど、確かにあの
頃もう、今作の画面から伺えるテンションの高さは出来上がっていたかもしれない。
さすが、元祖「ステーシー」、ファミリー劇場インフォメーション番組MC経験者、
初の平成女性仮面ライダー、学生時代にコミケに行くために東北から上京してたヒト
(らしい)。
 そしてまた、加藤夏希のテンションに全く負けていないのが全体的のテンポの良さ。
 相当の情報量を短い時間の中に繰り出す加藤夏希は凄まじいのだけれど、その
ノリとテンションを殺さず、作品全体をそのテンポに乗せて突っ走らせた編集が
心地よかったです。内容が「他愛のないコメディ」であるだけに、というかだから
こそ、あのテンポの良さは重要なのだけれど往々にして邦画ってそういうテンポを
何故か出せない。その意味では今作は凄まじく素晴らしい。
 問題があるとすれば、加藤夏希がある意味、完璧すぎるということ。仲谷明香
中田ちさとも、あの運営陣側の人ながらキャラクターを的確に捉えた演技をして
いて好感がもてるのだが、いかんせん色々な意味で加藤夏希に負けている。・・・・
まぁ、物語自体がそういう展開なのだから何の問題もないっちゃぁないのだが、
ちょっとあの2人には可哀想なことになってしまった感じも。・・・・まぁその辺は個人
の好みの問題だし自分はそもそもハロヲタだからどーでもいーっちゃどーでもいー。

 細かいトコロ・・・・といううか個人的には、妹の部屋に何であんな玩具が置いて
あるんだよとかあのポスターのチョイスはおかしくないかとか氏神一番さんを
せっかく出すならちゃんと見せ場を作ってあげなよとか、作品にというよりは
監督に対してのアレヤコヤレなので割愛します(^ ^)
 一本の映画というよりは、加藤夏希のキャスティングだけ固定でいいから何ら
かの形で続けて欲しいなぁ。