冬コミ

今年の冬コミも知人のサークル「スタビライザー」のお手伝い
です。
30日(水) 東メ42a で午後から売り子したりダラダラしてます。

ちょいと、過去の会誌に掲載した原稿の一部を。
RETURN45号
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
メシエ星雲人は何かマヅかったのか?

 毒を持ったロボット怪獣、誘拐宇宙人少女、洗脳電磁ベルト、
5色出る万年筆型時限爆弾とゴキゲンなガジェット・アイテム
を豊富に持ちながら、メシエ星雲人はウルトラマン暗殺に失敗
した。
 一体、何がまづかったのだろう。
物語の冒頭、コンビナートと思しき地帯にロボネズが出現し、
MATとの攻防、いつの間にか現れたウルトラマンとの格闘〜
ブレスレットで決着という、よく見る展開にもつれ込み、ウル
トラマンのカラータイマーが点滅することなくロボネズは倒さ
れる。メシエ星雲人に操られている白鳥エリカが悔しがりその
後に爆弾使用となったのだから、本当に悔しかったのだろう。
だが此処でまず疑問が発生する。ロボネズに噛まれたウルトラ
マン〜郷秀樹が鼠咬症に似た症状を発するが、その後の展開を
見ていてもメシエ星雲人はロボネズのこの能力に全く気付いて
いなっかたと思われるのだ。まぁそもそもロボネズがどういう
経緯で現れたのか、どういう目的でメシエ星雲人が放ったのか
がはっきりしないが、ウルトラマンの能力を測るために出てき
たのではないのはエリカのあの悔しがり方を見れば確かだろう。
とすると、ロボネズがウルトラマンを噛んだのは偶然の産物、
瓢箪から駒、な状況だったと言える。そもそもウルトラマン
暗殺するのが目的であったのならロボネズの使い方も違ってい
た筈である。メシエ星雲人は自分が操る怪獣にどんな能力が在
るのか把握していなかったのか。
 そしてともかく、おそらく郷が鼠咬症にかかった事を知らず
に、メシエ星雲人は郷暗殺のために爆弾による航空機爆破を決
行する。
警察白書犯罪白書によれば、1971年はその前後に起こった
日米安保条約自動継続、日中国交正常化沖縄返還などに端を
発したテロ・ゲリラ事件、またそれらに影響を受けた事件が頻
発した。その中でも、土田・日石・ピース缶爆弾事件 新宿クリ
スマスツリー爆弾事件、三菱重工爆破事件、明治公園鉄パイプ
爆弾事件といった爆発物による事件の発生が目立った。爆弾事
件はその後、体制や其処に属する個人から企業へとターゲット
が変容していくが、そんな世相の中、未成年者による模倣事件
狂言による強迫なども頻発する。
 洗脳した子供(しかも洗脳が解けても本人に地球人の記憶は
ない)に爆弾を使わせてターゲット暗殺を狙ったメシエ星雲人
の作戦は一見、証拠隠滅・真相隠蔽にうってつけだったとも思
える。しかし、いくら子供による模倣犯が登場し始めていたと
はいえ、本当に子供に爆弾事件を起こさせるだろうか? 当時、
実際に子供による爆弾事件で不特定多数が死亡した事例など公
式には記録されていない。この事案では幸いにも?航空機の爆
発墜落がエリカによるものかどうか明確に判明していないよう
だが、何かの弾みで発覚しようものなら耳目を集めてしまい、
背後の陰謀も取り沙汰された可能性もある。その危険性は感じ
ていなかったのだろうか。巷の事件に偽装するにしても、メシ
エ星雲人の情報整理能力に混乱が伺えないだろうか。
さらには、郷秀樹が休暇を取りどの飛行機に乗るかを調査す
る能力がありながら体調不良で旅行をキャンセルした事は突き
止められなかったのである。暗殺しようというターゲットに関
するリサーチにムラがありすぎないか。
 メシエ星雲人の不可思議さはこれだけに留まらない。白鳥エ
リカを洗脳するために使用していた電磁ベルトは、地球人であ
るハマムラ医師にもちゃんと機能した。着用した相手を完全に
洗脳状態に置く電磁ベルト。果たしてこれより強力な武器が他
にあるだろうか。しかもメシエ星雲人は警戒厳重な筈のMAT
基地内で洗脳状態にないエリカの居場所を恐るべきスピードで
突き止め、ハマムラ医師を襲った際には早速に白鳥を使役して
いる。実に効率的である。これを地道に繰り返していれば、指
級数的な勢いで地球人全員を支配することができたのではな
いだろうか。そもそも、なぜメシエ星雲人はウルトラマンを暗
殺しようとしたのか。どうせ暗殺するなら地球人全員を洗脳し
てしまえばもっと事を運びやすかったのではないだろうか。な
んのための電磁バンドだったのか。物事の優先順位を間違えて
いないだろうか。
そして仮にも、メシエ星雲人はウルトラマンジャック/郷秀
樹を倒そうとしていた筈である。であるにも関わらず、やって
はいけない最大級の事をやってしまっている。郷への物理的攻
撃/ダメージの付与である。隙を見て郷に麻酔を注射したまで
はよかった。しかしその後、何故か星雲人は自ら巨大化する。
ビルを突き破った際に自分が壊したビルの瓦礫が郷に降り注
ぎ、それが引き金になって郷は自動的にウルトラマンになって
しまったのである。そう、麻酔で昏睡状態になっていても変身
し、その後は意識がはっきりしていたのである。それまでの苦
労が全く水の泡である。ウィキペディアの『帰ってきたウルト
ラマン』の項目を見ると、その変身については〈郷が生命の危
機に陥ったときに自然に変身することが多い。〉となっている。
すなわち、人間体である郷秀樹に物理的直接的攻撃を加えるに
は余程巧いタイミングを狙うか、一瞬にして細胞レベルにまで
粉砕するか冷凍するか等の方法でないと、すぐさまウルトラマ
ンになってしまうのである。(しかしそういった方法ですら有効
かは判らない。)その意味で、人間体の郷に精神的ダメージを与
えた上で強力怪獣に立ち向かわせたナックル星人の戦術はほぼ
ベストだったと思われる・・・・セブンとハヤタが助けに来る事を
想定していなかったのは致命的なミスだが。その点、特に郷秀
樹に精神的ダメージを与えずとも結果的に鼠咬症にかからせた
のだから、ある意味、ナックル星人よりメシエ星雲人の方が優
秀・・・・といいたいが、ロボネズの能力を把握していなかったの
では何の意味もない。
 ともかく、メシエ星雲人は何故、彼処で巨大化したのか。別
にMATに気付かれていた訳でもないのである。全く状況判断
が出来ていない。
 このように、メシエ星雲人の一つ一つの手の内はかなり強力
なのにも関わらず、なんでだか全てが上手く噛み合わず、結局、
郷秀樹を暗殺できずに終わってしまった。一つ一つの局面を見
ていて不可思議なのはなにより、メシエ星雲人のリサーチの不
正確さ、状況判断の甘さ、己の能力・道具立ての把握・使い方
のマヅさ、理解不能な行動そのものである。果たして、メシエ
星雲人は何をどうしたかったのだろうか。
 こんなメシエ星雲人の状態を地球人として見てみた時、思い
浮かぶ症例が・・・・・