やはり重要なのは、物語として「面白い」かどうかなのだ

 ・・・・と、思ってしまう、これがジャンル者の性(さが)なのさ。

 

 ルート・アイリッシュ

 民間軍事会社による「汚い戦争」の問題・・・・まぁ「きれいな戦争」
なんて在りはしないんだが・・・・を題材にした、いわば社会派作品では
あるのだが、やはり映画である以上、映画として「面白く」・・・・という
コトハが適切かどうかはまた問題だが・・・・あるかどうかは、やはり自分
のようなド腐れ外道なジャンル者としては重要課題なのである。
 その点、本作はサスペンスとしても、トラウマ抱えたダメ男のダメ人生
映画としてもガッシリキマっていて見事だった。
 喧嘩で捕まって留置場に入っていた主人公はパスポートを取り上げられて
しまっていて、親友が死んだイラクに行けない。つまりこれ、「安楽椅子
探偵」モノなのである。
 事件の重要な証拠はカメラ映像が入った携帯電話。主人公が「調査」する
手段もスカイプ(?)を使って現地イラクに居る人達に頼み込むという、
なんとまぁ現代的な安楽椅子探偵ぶり。逆にこれだけ通信機器やデジタル
ガジェットが発達すると安楽椅子探偵というコトバは死語になるのか・・・・
そーいや漫画原作で深田恭子の『リモート』とか在ったなぁ。
 何かあるとすぐにブチ切れてしまう粗暴さと細かな証拠を結んでいく探偵
ぶりが同居する主人公が映像作品ではやや描きにくいかなぁとも思ったが、
これはこれでアリでしょう。