昭和ライダーファンが平成ライダーを見た時

のような気分なのか、これは?


007 慰めの報酬

 いやー、一本の映画としては面白かったしクオリティも低くはないと思うんですが、
これが「007映画」なのかと考えると正直、「?」だったりするのであります。
 確かに、前作『ガシノ・ロワイアル』から完全に設定を一新して「名前はジェーム・
ボンド」だけど21世紀の現代に生きる、今までとは全然違う人に007はなった訳
で〜逆に言うと一作目から二十作目までは色々な矛盾を内包しつつも強引に同じ人で
通していた〜、今まで同じノリでやる必要もないっちゃないんですが、それにしたって
お約束というお約束を次から次へと取っ払いきってしまうとは。
 『カジノ〜』だって、情報部員である筈のボンドが常に世界各地で自分の本名を
言ってしまうお約束を自虐的なギャグとラストシーンの痛恨の台詞という二通りの
味付けで見せてくれて、秘密兵器に関しても唐突さという意味ではシリーズ史上かつて
ない「車の中に緊急生命蘇生装置」という大技をやらかしてくれたのに。
 ない。全然ない何もない。本命のボンドガールとのえっちもない。そら今までも
キスだけのいうのは何度もあったけどどう見たってその前後のえっちを連想させる
感じだったのに、そんなカケラもない、というか今回のボンドガールは重過ぎる。い
や、『ユア・アイス・オンリー』とかにも両親の復讐を狙うコが出てきたけど、なんか
やっぱり重さが違う。国際的組織による発展途上国の水資源の独占というテーマの選択
自体は今までのシリーズ作とさほど視点が変わらない気もするけれど、このなんとも
堪らない「生々しさ」はなんなのだ? 重い重たい。
 しかも今回、これだけやって結局、敵組織の名前が分っただけじゃん(まだ続くの
かっ)
 う〜むむ。こういう方向性の作品を二本もやってしまったら、今後何食わぬ顔で
今までみたいな作品は作れなくなっちゃうよなぁ。いきなり「R」が出てきて開発中
の秘密兵器実験失敗とか絶対もう無理だろう。
 あと、ソニーのデジカメ(っちゅうかケータイ)はあんなに解像度がいいのか?  
VAIO Uにはあんな超絶機能があったのか^^;;? ボンド自身が生身肉弾路線
になった分、MI6の中のハイテク化が進みすぎてしまってあれでは『スタートレッ
ク』かなんかの宇宙船の中みたいだった。

 あーあと、分んなかったのがオルガ・キュリレンコの背中。
 なんか、ドミニク・グリーンの居る港に現れたシーンで背中に蚯蚓腫れみたいな
ものが見えたような気がしたんだけど、あれはオルガ扮するカミーユが少女の頃に
受けた酷い仕打ちを暗示する為のモノなのか、それともオルガ自身の物なのか。劇中
でも(少なくとも字幕では)全くなんの説明もなかったのでまぁどうでもいいっちゃ
いいんだけど。