遅れてやって来た超絶SF

 年末年始のためにHDDの空きを作ろうと、溜まって
未見だった番組をせっせとこなしていたのですが。

 やって来ました。
 地上波で再放送もないので全くチェックすることなく
過ごしていたのですが、スカパーの放送で改めて
ちゃんと見てみて呆然。


 太陽にほえろ!
  1984年10月5日
  マイコン刑事 登場
 
 この瞬間、『太陽にほえろ!』は刑事ドラマから超絶SFドラマになってしまっ
た!!!!!!

 その数年前には神田正輝渡辺徹三田村邦彦世良公則
で「かわせみ」現象と呼ばれる何度目かのピークを迎え、
裏番組の「桜中学」シリーズから視聴率を奪い返していた
太陽にほえろ!
 しかし、「必殺シリーズ」との両立が難しかったのか三田村邦彦
が去り、神田正輝はややオッサン化、渡辺徹は容積が2倍ぐらいに
なり、世良公則 も殉職してアイドル番組としての華々しさはなくなり、
久々の女性刑事・長谷直美やアクション派・又野誠治の投入で
安定はしているもののややこじんまりとした感じになっていきました。
 そんな状況を打破すべく?登場したのがボス・石原裕次郎の甥、
石原良純
 当時増加していた(らしい?)コンピュータ犯罪に対応すべく、警視庁
本庁から送り込まれてきたという、他の刑事とはちょっと違う経歴。
 キャラクターのコンセプトとしては、最新技術には強いが刑事として
人間としてはまだまだ未完成な若者が七曲署一係の面々に揉まれて
成長していく姿を描こうとしていたようで、まぁそれはそこそこ上手く
描けていたとは思うんですが、でもそれって単に「できない子」で
あって、「ユニークな刑事のトンガった個性」ではなかったと思う訳です。

 そして。
 さらに問題だったのが、マイコン刑事の唯一の「個性」とも言えた
コンピュータの知識だったのですが、
実は其処が致命傷だったとは。



マイコン刑事が『太陽』に初当登場したのは2時間SPだった#618
「コンピュータ計画」で、コンピュータを駆使して犯罪を重ねる犯人に
対抗すべく一係に助っ人として現れたのですが、数ヵ月後には新人
刑事としてレギュラー入りしたので当初からその予定ではあったの
かも知れません。そんなマイコン刑事のこの回での名言。

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 自宅の部屋。七曲暑から帰ってきたマイコン刑事、自室のパソコン
の電源を入れながら、
「・・・・一流のプログラマーか」 何かキーを叩く。
 画面上に、 【 一流プログラマー・リスト<関東>】の文字、
その下に名前と住所がズラズラ続く。

 ※そのデータは何処から・・・・・
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 その画面を見ながらマイコン刑事、
「さ〜あ「ホームズ一世」、犯人を教えてくれよ」と言いながら何か
キーを叩く。

 画面上、真っ黒な画面に白いカタカナで
  【 ガイトウシャ ナシ  】 の文字。

 ※どういう条件でリストを絞ったのだろう・・・・・。
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ドック「やっぱり無理なんじゃないの? パスワードったって、自分に
    関係したものとは限らんのでしょう」
ラガー「そう、そうですよ、大体ゴジラとかウルトラマンとかなんだって
     いいんだから」
 黙々とパスワード候補の単語を入力し続けるマイコン
ラガー「君ねぇ、いつまでもそんな事をしているよりは、俺達と捜査を
    している方がいいんじゃないの」
マイコン 「いえ、それでは解決しません」
ラガー「・・・・解決しないって」
マイコン 「連中の動きが分かりましたか? 最近 大金を使ったとか」
ドック「いや、そういう痕跡は今のところない」
マイコン 「今の状況では、連中を幾らマークしても駄目です」
ラガー「どーしてそんな事が判るんだよっ、」
ドック「ホームズ一世くんがそう言ったのか?」
マイコン 「はい、彼には最近の捜査記録の全てが入れてあるんです」
 思わずマイコンに掴みかかろうとするラカーを押さえたドック、連れ立って
部屋を出る。
マイコン 「・・・・何処も同じか。誰もコンピュータを理解してくれない」
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 七曲暑一係の部屋の一角にパソコン一式を持ち込んだマイコン刑事。
 他の刑事が脚を使った捜査を続ける中、部屋の中で捜査?を続けている。
マイコン「これで、知っている限りのデータは全て入れた。大野は何処だ?
      教えてくれ、ホームズ二世っ 」
 特にキーボードを叩く演技もSEも入らず、画面はPC画面の絵に切り替わる。
 黒画面に白いカタカナで
     【 ユウヒダイシゼンコウエン 】  と表示される。
マイコン「係長っ」
 と、ボスの方を振り返るが、係長席にボスは居ない。
          ※それまで気付かなかったのか? 3メートルぐらいの距離だが。

 マイコン、再びPCに向き直る。
マイコン「此処だな、ホームズっ」
 PC画面はカタカナのまま。
 マイコン、何か確信を得たように勢いよく一係室を飛び出していく。
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★「マイコン刑事登場」より

 何やらキーボードで打ち込むマイコン刑事。
 パソコンの画面上、黒画面に白字で

【 カガワ ノボル ガハンニンデアル
  カクリツ・・・・ 

  10% イカ              】

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マイコン「賀川はシロです。そろそろそう認めたらどうですか」
ドック「待て。お前いったいどういうデータをこいつに打ち込んだんだ」
マイコン「今までの捜査結果全部です。前科前歴性格、現在の
生活状態、月収、犯行現場に5分前まで居たこと、改造拳銃を作る
技術があること」
トシさん「土地勘があることは?」
マイコン「入れました」
ドック「じゃあ、共犯者が居る可能性は?」
マイコン「入れました。これら全てを、本庁にある膨大な資料、特に銀行強盗
    のデータと照合して、確率が割り出されるんです。なんだったらもう一度
    やりましょうか」
ドック「いいよ・・・・機械は所詮 機械だ」
ラガー「そうだ、確率は所詮 確率でしかない」
マイコン「そんなっ、どうしてみんな、彼のことを目の敵にするんですかぁ」
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★「張り込み」より

マイコン「さあ、データは全部入れた。水谷は何処に居るんだ。教えてくれ、
    ホームズ三世っ」
 マイコン、キーボードのENTERキーを押す。
 パソコンの画面上、黒画面に白字カタカナで

  【   ワカリマセン  】  の表示

マイコン「なんとかしろよお前。明日の結婚式場に現れたらどうするんだよ。
    彼女の幸せメチヤクチャになっちゃうんだぞ」
 マイコン、キーボードに何やら打ち込む。
 パソコンの画面上、黒画面に白字カタカナで

  【   ワカリマセン  】  の表示
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「激走・大雪渓」より

マイコン「大丈夫ですか」
ブルース「大丈夫なわけないだろ、見りゃ判るだろうがっ、」
     ・・・・おいっ、お前は一人で逃げろっ」
マイコン「何言ってるんですか、二人だからこそ戦える、それが
    僕の信念です」
ブルース「あのなぁ、一人が怪我したら事情が変わるんだよっ、
     コンピュータに聞いてみろよっ」
マイコン「変わりませんっ、コンピュータはそう答えてます。行きましょう」
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 まぁ各回の脚本家によっても扱い方のニュアンスは違うし、
根っこの所で言ってるのは中途半端な捜査じゃ駄目だという
当たり前の事なんですが。


 この2年後、『太陽にほえろ!』は終了します。