考えると狂気の話・・・・ではないのだな。『恋の罪』は

 まぁ、あまり日曜の午前中から見るもんでもなかったかも知れない。
 でも日曜の1回目の回に見にいったらカップルやら女性のグループ
やら居てビックリした。もっと見る映画があるんぢゃないですか皆さん^^;;;

 

 恋の罪

 今作の監督の前作『冷たい熱帯魚』はもう、出来上がっちゃった
既知外に当て身を喰らわされた男が自分でも自覚がないままに同じ
所に引きずり込まれているという既知外大博覧会の様相を呈して
いて、その意味でインパクトは絶大だったと思う。
 それに比べると、本作は「論理的」である。
 ある視点側からすると「壊れていく」様が、順序立てて語られていく。
 それを導く側の存在も、理由があってのことだということが暗示
されて分り易い。
 そもそも「壊れていく」というのも、結末としての殺人事件に深く
関わる事になる人間側からしての見方であり「下品さ」であって、
「下品」の側からすると理路整然と「下品」なのである。狂気を
求めるとするならば、むしろ、「下品」を蔑んでいた側の「現実
認識」の狭さ?であって、殺されるに至った側も、「下品」で
ない部分が己の奥底に残って居たからこそ、出口のない迷路に
迷うことになってしまったのだと言えなくもない。ただそれを
「堕落」と言おうと「解放」と呼ぼうと一度行ってしまったら
戻って来れず、結局「下品でない」世界と折り合いがつかなく
なって、「下品でない」側からすると「終わってしまう」。それが
いいのか悪いのかは、結局この作品は断言していない。とは
いえ、生き残った女も、監督がインスパイアされた現実に
起こった事件のような末路を歩むような気配を十分に漂わせる。
 ゴミ収集車を追いかけだした主婦がそのまま失踪してしまう
逸話や実は狭い人間関係の中での話だったことや、より抽象的な
映像表現など、今作の方がより「映画的」な印が多く刻み込まれて
いるような気がした。

 と、いうか、『冷たい熱帯魚』はやっぱりでんでんの怪演の
印象が凄すぎるんだよなぁ。
 
 まー個人的な不満を言うと、結局これサスペンスにもミステリにも
なってない〜その必要も必然性もないっちゃないんだけど〜ので、
そういう謎解きのカタルシスみたいなモノを期待してると何もない
んだよなぁ・・・・まぁこの監督らしいといえばらしいのか? 大きな
括りで言えば今作も「ホラー」なんだろうし。